彼の素顔は甘くて危険すぎる
(不破視点)
彼女から聞かされた内容に衝撃を受けた。
だって、それって、かなりヤバいじゃん。
いや、俺も無理やりキスしてるから相当ヤバいけど。
俺はちゃんと誤ったし、フォローしてるし……って、そういうことじゃないか。
だから、あんなにも怯えてたんだ。
完全に危ない系の人に目をつけられ、恐怖で堪らなかったらしい。
「そいつ、男なの?」
「……うん」
「はぁ?……何でついてったの」
「何でって、……良い人だと思ったから」
「甘いだろ、その考え」
「……反省してる」
「他に何かされたりした?」
「うーん……」
おいおい、考え込むな。
ガードが甘すぎんだろ。
「あ……」
「……何?何されたの?」
「されたってほどじゃないけど、………初対面でハグされて、ちょっとビックリした」
「あー……なるほど」
警戒心なさすぎ。
男と二人きりで会って、初対面でハグ。
俺でもしねぇって。
「で、そいつがしつこく連絡してくるの?」
「………うん」
「そのサイトのアカ、削除しな」
「した」
「そいつの連絡先、メールも電話も拒否れよ」
「怖くて出来ない」
「何で」
「住んでる所知ってるから、待ち伏せされたりしたら怖いじゃん」
「でも、電話に出なかったり、メールに返信しなかったら、結局は来るでしょ」
「……そうかも」
だから、いつになっても解決しないんだって。
気付けよ、いい加減。
「彼氏がいないとかいう話題になった?」
「……うん、聞かれて『いない』って答えた」
「だからだよ」
完全に弱みにつけ込まれてるじゃん。
見事に、まんまと。
ホントにいつの時代の女子高生だよ。
「彼氏になってやるよ」
「え?」