彼の素顔は甘くて危険すぎる
これって、告白⁈

(ひまり視点)

クリスマス・イヴ。
二学期の終業式を終え、半日で下校する。

いつもなら、画材屋さんや書店に寄って買い物してから帰宅するのが恒例だったけど、今日はクリスマス・イヴに相応しいと言っていいのかな?
不破くんに連れられ、とある場所に向かっている。

「本当に大丈夫なの?」
「平気だよ。事務所の人にも許可貰ってるし」
「無理やり頼んだんじゃなくて?」
「そんなことしねぇって」
「………本当に?」
「疑い深いなぁ」

学校の制服のまま、私と不破くんは地下鉄で、不破くんが契約しているという芸能事務所の本社があるビルに到着した。

「すごっ……」
「上京して来た子みたい」
「えっ……」

何階あるのか分からないけど、結構高いビルで、美術館みたいなお洒落な造りに圧倒されてしまった。
ビルの入口には、『Rainbow Bridge』とこれまたお洒落な字体で書かれたステンレスレーザーカットが施された銘板。
夢の世界の入口に立ったみたいで、胸が躍る。

「ひまり?」
「あ、……ん」

ついつい見惚れてボーっとしてしまった。
彼に呼ばれて後を追う。

受付で名前と連絡先を記入して、『関係者』というネームホルダーを受け取り、それを首に掛ける。
一気に緊張して来た。
だってここ、1、2を誇る大手芸能事務所の本社だよ。
芸能人を目指してる人でも中々足を踏み入れられないと思うのに……。

「置いてくぞ?」
「あ、ごめんっ」

すれ違う沢山の人に会釈してたら、彼との距離が結構離れてしまっていた。

< 69 / 299 >

この作品をシェア

pagetop