はやく俺のこと好きになってよ、先輩。

忘れさせてあげましょうか?



「西村先輩が好きです。オレと付き合ってください!」


目の前に真剣な眼差しで立っている男の子。


シューズの色が青だから、一つ下の後輩だ。


すごくいい子そうだけど、私が言うことはいつも決まっている。



「気持ちは嬉しいけど、ごめんなさい。好きな人がいるので・・・」



ーーーガチャン。


後輩くんが屋上の扉から出ていくのを見届けてから、踵を返し柵の前まで歩いて校庭に咲く満開の桜を眺める。


柵の上に両肘を乗せると、自然とため息が出た。


3年に上がって早々、告白されるとは思ってなかったな。


好きですって言ってくれるけど、こんな私のどこを好きになってくれてるんだろう。


サーッと柔らかい風が吹き、校庭に桜の花びらが舞う。


顔にかかった横髪を耳にかけた。




「本当にいるんですかー?好きな人」


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