はやく俺のこと好きになってよ、先輩。
「昨日は、色々ごめんね先輩。帰ってから連絡できた?」
・・・どうやら、夢ではなかったみたい。
自ら昨日のことに触れてくるとは思わなかった。
「うん。土曜日会うことになった」
「・・・・・・」
無言で隣を歩き続ける一ノ瀬くん。
そりゃ、そうか。
会って欲しくないって、言ってたもんね。
「・・・あー・・・ごめん。俺、思ってたよりマジで余裕ないかも」
そう言ったかと思うと、私の手を引いて前を歩き出した。
「え、一ノ瀬くんっ、どうしたのっ」
「先輩、ちょっと時間ちょうだい」
着いた先は、駅に向かうまでの道から少し外れた所にある小さな公園だった。
一ノ瀬くんは空いているベンチまで私を連れて行くと手を離し、自然な流れでふたりベンチに腰掛けた。
「俺、明日から金曜までバイト入ってて、放課後一緒に帰れないんだよね。なのに、こういう時に限って、昼休みもサボった分の補習あるし。今しかなくて、先輩と話せる時間」
一ノ瀬くんは困ったように少し眉を下げた。