はやく俺のこと好きになってよ、先輩。


鼻の奥がツーンとして、視界が微かに揺れる。


嫌だ。ここで泣きたくない。泣いちゃダメ。



「・・・明華。あいつには明華を渡したくない。もちろん、他のだれにも」


「・・・・・・え・・・?」


聞き間違いじゃないかと思う程、想像もしていなかった言葉に、自分の耳を疑った。


「お待たせしました。ティラミスのお客様・・・、濃厚チョコブラウニーのお客様・・・」


このタイミングでデザートが運ばれてきて、さっきまでの空気がパッと変わる。


涙も引っ込んでいた。


「とりあえず、食べようか」


そう言ったのはりっくんだった。


ティラミスを口に運ぶけど、じっくり味わう余裕がない。


頭の中がぐしゃぐしゃで。


・・・・・・りっくんは何を考えてるんだろう。


さっきの、どういう意味で言ったの?

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