はやく俺のこと好きになってよ、先輩。
「明華にブラウニー半分あげようと思ってたんだけど、・・・食欲無さそうだね?」
「あ・・・・・・うん。大丈夫、ありがとう」
いつもの私なら喜んで頂いてたと思う。
食べることは大好きなのに、全く集中できなくなっていた。
ティラミスのほろ苦さだけが、やけに沁みる。
「明華、こんな時にって感じかもしれないけど、さっき言ったことは本当だよ。オレは、明華を誰にも渡したくない」
「・・・・・・それって・・・、でも、私たちは、別れたよね・・・?」
「うん。だけどオレは、別れてからもずっと明華のことが好きだったよ。もちろん、今も」
「・・・・・・」
言葉が出なくて、スプーンを持つ手も止まって、目の前の真っ直ぐな瞳に捉えられる。