はやく俺のこと好きになってよ、先輩。
一ノ瀬くんが悪いわけじゃないと思うけどな・・・・・・って、そんなこと言ったら仁乃に怒られそう。
そんなことを思う私もどうかしてるよね・・・。
でも、さっきの一ノ瀬くんの顔を思い出すと、胸がきゅーっと締め付けられる。
会いたくなかった。
いや・・・・・・違うか。実際会うと、心のずっと奥で嬉しいと思ってる私がいる。
必死に頭の片隅に追いやっていた一ノ瀬くんが、すぐに私の頭の中をいっぱいにしてしまうんだ。
あの日、一ノ瀬くんに「嫌い」と言った日。
屋上から飛び出して、午後の授業もサボって散々泣いて・・・・・・。
あとから、受験生なのに授業をサボってしまった罪悪感に苛まれ、自分を戒めるためにもう恋愛はしないと決めたはずなのに。
今この瞬間、一ノ瀬くんのことを「嫌い」になれていないことは明らかだった。