はやく俺のこと好きになってよ、先輩。
散る火花
なんで、こんなことになってるんだろう。
私の左隣に仁乃、右隣には一ノ瀬くん、その隣に美咲ちゃん。そして、テーブルを挟んで私の目の前にはりっくんが座っている。
ここは、大学のカフェテリア。
いわゆる学生食堂で、お昼を食べているところ。
夏休み最初の土曜の今日は大学のオープンキャンパスに参加していて、午前中に説明会や模擬授業を受けた。
元々私は仁乃と二人で参加するつもりだったのに、現地に着くとなぜか一ノ瀬くんと美咲ちゃんとその仲間たちがいたのだ。
確かに、2年生でも参加できるけど・・・
一ノ瀬くんと美咲ちゃんは私たちに気づくと笑顔で手を振ってきた。
隣を見ると仁乃がニコニコしながら手を振り返していたから、それを見て呆れたため息が出た。
一ノ瀬くんとはあのキス以降、特に進展はない。だけど前みたいにバイトが休みの日には放課後に昇降口で待ってくれていて駅まで一緒に帰ったりしている。
そして、美咲ちゃん。
なぜか、ある時から急に挨拶や話しかけてくるようになった。
手のひら返しのような態度の変わりように、何か企んでるのかと思って最初は警戒していたけど、一ノ瀬くんにこれ以上嫌われたくないから私と仲良くすることにしたという理由だった。
それを聞いて言葉を失ったけど、何か嫌がらせをしてくるわけじゃなくなったから、とりあえず良いかとほっといている。