はやく俺のこと好きになってよ、先輩。


「あすか先輩」


一ノ瀬くんに呼ばれて振り向くと、


「はーいっ、じゃあ君たちは俺らが案内してあげるよー。ついて来てー」


りっくんのお友達さんに寄って遮られた。


一ノ瀬くんはそれ以上何も言わず、私からりっくんへ視線を移すと渋々踵を返し行ってしまった。


「じゃあ明華、行こうか」


「あ、うん」


私たちは一ノ瀬くんたちとは逆の方向へ歩き出した。



「ここ眺めいいでしょ。そこ座ってちょっと話さない?」


「うん・・・」


来る途中も色々と案内してもらいながら、3階のテラスに来た。


緩いカーブの廊下に沿ったテラスで、廊下とは全面ガラス窓で仕切られている。そのガラス窓に背を向けるかたちで3人掛けベンチがずらーっと置かれていた。


広いキャンパスの中庭を見渡せて心地良い。


ちょうど日陰になっているところに二人で腰掛けた。

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