はやく俺のこと好きになってよ、先輩。
勢いよく店のドアを開けると、少し先に朝比奈さんが立っていた。
「オレに用だよね?」
余裕そうな笑みを浮かべてる朝比奈さん。
「話が早いすね」
「花火大会は譲れないよ?」
「朝比奈さんが誘ったんすか?」
「そうだよ」
「必死ですね」
「・・・まあね。明華だけは誰にも譲れないからさ」
顔は穏やかだけど、目は笑ってない。
この様子なら、明華先輩がどうこうって言うより、朝比奈さんが押してんだろうな。
だったら俺も引く気はない。
「同じ土俵なんすよね?夏休みはちょっと出遅れましたけど、俺も譲る気はないんで」
「・・・そう。話は終わり?」
「はい。お疲れ様でした」
朝比奈さんを見送って、俺はすぐその場で電話をかけた。
・・・・・・
出ないか。
スマホを持つ手に力が入る。
あー、結構焦ってんな、俺。
仕方なくメッセージアプリを開いて、文字を打ち始めた。