はやく俺のこと好きになってよ、先輩。
「明華!」
声のした方を見ると、白のカットソーに黒のパンツ姿のりっくんが手を上げていた。
周りの女の子たちが道すがらチラチラとりっくんを見ていく。
やっぱりモテるなぁ、りっくん。
シンプルな格好なのにスタイル良いし、かっこいいよね。
私も初めてりっくんを見た時、王子様みたいだなって思ったことを思い出した。
「ごめん、待たせたかな」
「いや、俺が早く着いただけ。それより、明華、浴衣似合ってるね。かわいい」
「ありがとう・・・」
面と向かって言われるとやっぱり照れる。
りっくんの顔が見れなくて少し俯いた。
「手、繋いでいい?」
「え・・・えーっと・・・」
どうしよう。
さすがに手を繋ぐのはちょっと・・・
「この人混みだしさ。それに、今日はデートでしょ?」
笑顔のりっくん。
返事に戸惑っていると、左手をとられてしまった。
あ・・・まずい。
繋がれたらさすがに振り解けない。
繋がれた手を見て罪悪感に苛まれながら、りっくんの隣を歩くことになった。