はやく俺のこと好きになってよ、先輩。
「・・・・・・俺も、あすか先輩が好きだよ」
ドォーンッ
最後の花火が打ち上がり、拍手と歓声が上がった。
花火大会へ向けられた拍手なのに、自分たちに向けられてるみたいで小っ恥ずかしくなり、一ノ瀬くんの胸を押して少し離れた。
「・・・・・・なんで」
一ノ瀬くんは不満そう。
たった今、気持ちが通じ合ったところなのにね。
良いムードだったのにね。
うん。私だって、できることなら、まだくっついていたいよ。
でも・・・
「恥ずかしい・・・」
なんとなく目を合わせられず、一ノ瀬くんの胸元に視線が落ちてしまう。
「・・・あーもう。ちょっとこっち」
そう言って手を引かれ、帰路につく人たちの間をゆっくりと抜けると、すぐ近くの階段へと腰を下ろした。
「ここなら恥ずかしくないでしょ?もう人もほとんどいないし、抱き締めていい?」
「えっ・・・あ・・・うん」
戸惑いながらも返事をした途端、また一ノ瀬くんの腕の中へ収まった。
ドキドキドキと心臓は加速する。