はやく俺のこと好きになってよ、先輩。


「あすか先輩」


一ノ瀬くんに呼ばれ、家の中に入った。


「おじゃましまーす」


「どうぞ」


私たちは一ノ瀬くんのお母さんが作ってくれていた夕食を仲良く食べ、それぞれお風呂を済ませた。



お風呂に入ったあたりからちょっとずつ緊張が増してきて、今がピークかもしれない。


2階の一ノ瀬くんの部屋へ来た私たち。


ベッドの上で一ノ瀬くんの足の間に座らされ、後ろから抱き締められた状態でテレビのお笑い番組を観ている。


うーーやばい。


テレビどころじゃないよ。


全く内容が入ってこない。


一ノ瀬くんはどんな気持ちで観てるんだろう?


「あすか先輩、卒業おめでとう」


番組がCMに入ったところで、急に一ノ瀬くんが言った。


「ありがとう」


「本当に卒業するの?」


「ふふ。もうしたんだよ」


「・・・だよねー。俺と一緒に卒業するのはどう?」


「ははっ。留年ってこと?もう卒業しちゃったから無理だよ。どうしたの?」


何を言い出すかと思えば。なんか可愛い。

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