はやく俺のこと好きになってよ、先輩。
あれから教室に戻ると、仁乃は私の顔を見てほっとした様子だった。
今は6限目。
もうすぐ行われる体育祭の種目決めの最中だ。
私の種目は、借り物競走と学年対抗リレーになった。毎年リレーには駆り出される。
割と足は速い方で、走るのは好きだからいいんだけどね。
自分の種目が決まってしまって、暇になった。
まだ他の種目決めで、教室の中はガヤガヤと賑やかだ。
机に頬杖をついて、ぼーっと黒板を眺める。
『先輩に何かしたら、許さねーから』
昼休みの出来事を思い返していた。
一ノ瀬くんのあんな低い声、初めて聞いたな・・・。