はやく俺のこと好きになってよ、先輩。
パンッ!
ピストンの音が響き、走り出す。
急げ急げ、できるだけ早くゴールするんだ。あの人に見られないうちに。
目の前の紙を一番乗りで取り、開いてお題を確認する。
え・・・
すぐに頭に浮かんだモノを、応援席の方を見てキョロキョロと探す。
いた!
一目散に走った。早くゴールしたいの一心で。他には何も考えていなかった。
テントの前に着くと男子が「おお!」と何やらざわめいている。
でもそんなのも気にせずに、
「一ノ瀬くん!来て!」
呼ばれた本人は、一瞬目を見開いて驚いた様子だったけれど、すぐに立って来てくれた。
彼の手を取って走り出す。