はやく俺のこと好きになってよ、先輩。


「・・・好きな人っていうより、忘れられない人。・・・だから付き合うことはない」


この子に適当に返しても納得しなさそうだし、どうせもう関わることもないだろうから本当のことを言って、さっさと切り上げようと思った。



「・・・ふーん、てことは、元カレか」


「そういうことになるね。じゃ、もう行くから」


別に言いふらされようと問題はない。


もう用はないし、この全部を見透かされそうな瞳から早く逃げ出したかった。


彼の横を通って、扉に向かって歩き出したその時、

ぎゅっと右腕を掴まれた。

< 5 / 183 >

この作品をシェア

pagetop