はやく俺のこと好きになってよ、先輩。
すごい・・・速い・・・
「キャーッ!」
「がんばれー!!」
グラウンドの熱気は最高潮に。
ラスト、カーブからの直線になるところで一ノ瀬くんは追いついた。
パンッ!
ゴールのピストルが鳴った。
ドクドクドクと心臓が音を立てている。
同時にゴールした様にも見えたけど、微かに一ノ瀬くんが出ていたような・・・。
ぎゅっと握りしめた右手が湿っているのを感じた。
「優勝は、2年生!!」
判定の結果、マイクで告げられた結果にグラウンド全体が沸く。
私はひとり、なんとも言えない感情に包まれていた。
2年生に胴上げされて笑っている一ノ瀬くんを見ながら、トクトクトクと規則正しく高鳴る鼓動に気づかないフリはできなかった。