はやく俺のこと好きになってよ、先輩。
カランカランッ
駅から5分程歩いたところのカフェに入った。
海外ドラマのワンシーンに出て来そうなクラシカルなカフェだ。
この近くのショッピングモールにはよく買い物に来たりするのに、こんなお店があったなんて。
店内はカップルや友達同士、年齢問わず賑わっていた。おしゃれでインテリアもかわいい。
11時にオープンしたばかりなのか、まだ何席か空いていてすぐに座ることができた。
「すごい、おしゃれなカフェだね」
「先輩が任せるって言ってくれたから勝手に店決めちゃったけど、大丈夫だった?」
「うん、大丈夫。寧ろこんなおしゃれなとこ来れて嬉しい。一ノ瀬くんはよく来るの?」
「いや、・・・恥ずかしいけど、ねーちゃんに聞いた。俺も初めて」
「そうなんだ!お姉さんいるんだ。一ノ瀬くん弟なんだね」
ふふ。なんだか少し恥ずかしそうにしている一ノ瀬くんが可愛く見える。初めて聞く家族の話に少し距離が近くなった気がした。
「うん、ふたり姉弟。先輩は?」
「私はひとりっ子だよ」