③私、突然お嬢様になりました
中年執事さんは、慌てたように先ほど乗ってきたリムジンに乗り込み去っていく。
そして、後に残されたのは私と、先ほど背後から声をかけてきた男の子。
爽やかな黒髪に、身長は170センチくらいだろうか。
執事服を身に纏っている彼は、どことなく気品すら感じる。
そして、極めつけは…。
その綺麗な顔立ち。
その辺の芸能人やモデルより整っているからか、私も思わず見惚れてしまった。
毛穴なんて微塵も感じられないくらい綺麗な肌に綺麗な二重。
…う。羨ましすぎる。
「あの…すみませんが、あなたは…?」
緊張しつつ、控えめに声をかけると。
「西園寺琴乃様ですね。私は、沢城侑也と申します…本日より西園寺公久様より貴女のペアにと申し付けられました」
ニコッと微笑み、先ほどの執事さん同様恭しくお辞儀をしてくれた。
「あなたが私のペア…!?」
「おぉ!琴乃。もうついとったじゃな〜すまんな。迎えが遅くなって。ほほう。もう、侑也とは顔合わせしたんだな。結構、結構!」
ギョッとしたのも束の間、校内の階段から機嫌よく降りてきたのは昨日会ったばかりの私の祖父、西園寺公久。
そして、祖父の隣を歩く上品なおじ様。
「琴乃、こちらが私立櫻乃学園の学園長。穂南学園長だ。わしの旧友でもあるんじゃぞ」
祖父に紹介されたのは、まさかの学園長。
「失礼しました…西園寺琴乃と申します。本日よりよろしくお願いいたします…!」
慌てて挨拶をし、頭を下げる私に学園長は目を見開いた。