③私、突然お嬢様になりました
「こちらが私達のお部屋です。どうぞ琴乃様」
「…どうも…ありがとうございます」
寮の部屋の前、ドアをゆっくりと開けてくれる彼に私はドギマギしてしまう。
だって、執事なんて今までテレビや映画の中でしか見たことないし、ましてや同い年くらいのイケメンにエスコートなんてしてもらった経験なんてあるわけないのだから。
「琴乃様、先程から思っておりましたが…私は琴乃様の専属執事でございますので。毎回、お礼を言われる必要ありませんよ。当たり前のことですので」
ニコリと爽やかな笑みで私に向かって言ってのける彼に私はコクコクと首を縦に振った。
ガチャ。
うわ!部屋もすっごく広い。ホテルのスイートルームみたいな感じかな?
寮の部屋は玄関を進むと廊下が続いておりトイレ、バスルームがある。
そして、扉をくぐると広いリビングダイニングに出た。
奥に左右1つずつ部屋があるからおそらくそこがお互いの寝室になるのだろう。
とりあえず、しっかり一部屋ずつあることに安堵した私は、視線を彼…沢城侑也に移した。