③私、突然お嬢様になりました
私の専属執事だという彼。
おそらく執事学科の生徒なのだろう。
まだ見習いだと言うのに佇まいや立ち振る舞いは素人目から見てもすごいとわかる。
「あの…沢城さんは執事学科の生徒なんですよね?先程、私の祖父からペアに頼まれたと言ってましたけど…」
気になっていたことについて、私は控えめに問いかけてみた。
「…失礼いたしました。琴乃様が疑問を感じられるのも当然です。私は、西園寺グループ筆頭執事家系である沢城家の時期跡取り、年齢は琴乃様と同じ16歳です。気軽に侑也と呼んでください」
「…西園寺グループの筆頭執事家系」
「はい。代々我が一族は西園寺グループの皆様に仕えて参りました。ちなみに私の父で現沢城家の当主は、琴乃様のお祖父様、公久様に仕えております」
ニコニコと柔かい笑みを浮かべながら、淡々と説明する侑也。
傍目から見れば、礼儀正しく完璧な執事見習いという感じだが、私はそんな彼に少し違和感を感じていた。
…なんか笑顔が嘘っぽい。
いや、演じているといった方が正しいのだろうか。
表情は笑っていてもなんだか目は笑っていないように見えて少し不気味さを覚えたのだ。