③私、突然お嬢様になりました
「まぁまぁ合格点なんじゃない?初日にしてはだけど」
「侑也くんって、何でそんなにひと言多いのかな?普通に上出来だくらい言えないの?」
昼休み。
私は、屋上で侑也くんと共に昼食を取っていた。
本当は学校の食堂に行ってみたかったんだけど、好奇の目で見られるし少しはゆっくりしないと今日一日の体力がもたないからと人目のない屋上に来ていた。
それにしても…お弁当まで用意してくれてるなんて…本当に優秀だこと。
屋上に広げたシートに座り、彼が作ったお弁当を食べる私。
「菖蒲池純連と対等に話せてたし、あそこまで言えれば上出来。意外に器用なんだね琴乃って。ノートの内容もそれなりに頭に入ってるみたいじゃん」
「まぁ、自分の平穏のためだしね…とりあえず心配なのは午後からあるマナーレッスンだよ。今日はお茶会がテーマらしいし。お茶会なんて出たことないよ」
午前中は、普通のカリキュラムで座学の授業だったからなんとかなったけど…。
問題は午後にある特別授業。つまり、私1人の授業。
「ふっ、その辺は僕にまかせて。今から叩き込んであげるから」
今から…?せっかくの休み時間なのに?
しかし、時間もないからしょうがない。
ハァ…特別授業、いったいどんな感じなのかな?
先行きの不安に気が重くなりつつ、私は再度お弁当に箸をつけた。