③私、突然お嬢様になりました

え…?侑也くんどうしたの?

突然黙り込む彼に戸惑っていると。

「西園寺さん、驚かせてしまってごめんなさいね。私は3年の鳳松院輝夜、櫻乃学園生徒会で副会長をしているの。よろしくね?」

鳳松院先輩は私に向かってそう声をかけてきた。

櫻乃学園、生徒会副会長。

そんな立派な肩書の彼女がいったい私なんかになんの用があるのだろう。

「はじめまして。1年A組に転入してきました西園寺琴乃です、こちらこそよろしくお願いします。それで、鳳松院先輩は私に用事があるとのことですが…どのようなご用件でしょう?」

困惑していることを悟られないよう笑顔で先輩に問いかけた。

「ふふ、噂通りの方みたいで安心したわ…。今日は私…というよりは、櫻乃学園生徒会長直々のお言葉を伝えに参りましたの。西園寺さん貴女……我が生徒会のメンバーになりませんこと?」

――ザワザワ。

今まで沈黙を保っていた他の生徒達が鳳松院先輩の言葉に一気にざわつく。

「私が生徒会に…ですか?」

「えぇ。貴女みたいな優秀な方なら生徒会に相応しいわ…どうかしら?」

ニコリと笑みを携えて、返答を待つ先輩に私はタラリと冷や汗が流れるのを感じた。

どういうこと…?
ランクで見れば私なんかより菖蒲池さんの方が上だし…。

おそらく何か意図があるのだろうけど、この状況じゃ検討もつかない。

それに未だに黙り込む侑也くんも気がかりだ。

となれば…。

「とてもありがたいお誘いですが…私ごときが生徒会メンバーだなんて荷が重すぎますし…」

謙虚なフリを装って断る方向でいくしかない。
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