③私、突然お嬢様になりました
「…まぁ。そんなに気負わなくても大丈夫よ?生徒会は和気あいあいとしていますし…そうだわ。よかったら一度見学に来ていただいても構いません。ぜひ、ペアの沢城くんも一緒に来てくださいね?」
先輩はそう言って侑也くんに向かって微笑んだ。
「…えぇ、検討しますよ。お気遣いありがとうございます、鳳松院先輩」
侑也くんは、ようやく笑みを浮かべはしたものの、その表情はやはりいつもより若干固いように見える。
「さて、と。そろそろ授業も始まりますし…私もそろそろクラスに戻らなくては。それでは西園寺さん、良いお返事期待していますね」
最後にそれだけ告げて、去っていく鳳松院先輩の後ろ姿を私は見つめることしかできなかった。
…櫻乃学園生徒会…。
いったいどんなメンバーがいるんだろう。
先輩の姿が視えなくなったのと同時に。
キーンコーンカーンコーン。
鳴り響いた始業のベルに私達は我に返る。
「やば。純連様、早くしないと授業に遅れてしまいますよ」
本郷くんの言葉に私達は急いで次の授業の教室に向かって足を進めた。
「西園寺さん、とりあえず授業が始まりますし…生徒会についてはまたお昼休みにでも話しましょう」
「あ、ありがとう菖蒲池さん」
いつになく真剣な菖蒲池さんの表情が気にかかったが、まずは目先の授業を受けることが先決だ。
私はそう考えて、足早に廊下を進んだのだった。