③私、突然お嬢様になりました
キラキラと見たこともないほど高そうなドレスの数々に私は笑顔が引きつる。
…これ、全部売ったらお母さんの借金返せるんじゃない?
なんて考えまで浮かんでくる始末。
「それにしても公久様、さすがに気合入ってるな…どのドレスも有名ブランドのばっかりだし」
適当に目の前に合ったドレスを持ち上げ、珍しそうに観察する侑也くんに私はギョッとする。
「有名ブランド…?というか、このドレスやらアクセサリーってまさか…」
「全部公久様からのプレゼントだって」
シレッと衝撃的な発言をする彼に私はどんどん血の気が引いていく。
「いやいや、こんなにいらないし…!1着で十分!」
「くれるって言うならもらっとけばいいだろ。これなんかどうだ…パリコレでも紹介されてた新作じゃん」
「パリコレ…新作…?」
ダメ。わかんない…これだけあると、どれを選べばいいのか…。
近くにあったドレスを見比べてもさっぱり良し悪しがわからない私は途方にくれた。
その時。
「これとかいいんじゃね?」
ポツリと声を発する侑也くんの方を見る。
そして、彼が手に持っているドレスを見て目を見開いた。
「可愛い…」