③私、突然お嬢様になりました

思わずそんな言葉が溢れる。

侑也くんが勧めてきたのは、淡いブルーを基調とした後ろの丈が少し長いフィッシュテールタイプのドレス。

腰回りにはリボンがついており、可愛らしさを出しつつも、胸元にはレースが施され、大人っぽさも表現されている。

「今回のパーティーは主にダンスが評価ポイントだから、フィッシュテールのドレスだと踊る時に綺麗に見えるしね」

なるほど…。そういう選び方もあるのね。

ドレス選び1つを取ってもそこまで先読みして考える必要があるのかと感心してしまう。

「うん、このドレスすっごくいい!色も素敵だしこれにするよ。侑也くんありがとう」

そう言って笑顔でお礼を言う私に対し。

「…馬子にも衣装って感じだけど、あとはメイクと髪型でなんとかなるとして…問題はダンスだね。琴乃ダンスの授業まだ数回しかしてないよね…できそう?」

前半、若干失礼なことを言われた気もするがそこは大人の対応でスルーする私。

「う…。正直…少し自信ないかな。運動神経とか物覚えは悪くないつもりだけど経験がなさすぎて…」

本音を漏らしたのと同時に、ついため息がこぼれた。

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