③私、突然お嬢様になりました


――――…


ドキドキと緊張で高鳴る鼓動を抑え、私は会場となるホールへと足を進める。

今日はダンスパーティー本番。

私は侑也くんが選んでくれたドレスに身を包み、フーッと小さく息を吐く。

ここ数日の夜中までの特訓で、侑也くんから合格をもらえたのはつい昨日だけど…。

『…ん。ま、いいんじゃない?』

そのセリフを言わせただけでも私にとっては物凄い達成感があった。

裏を返せば、それ以前はかなりボロクソに貶され続けたわけなんだけどね。

ダンスパーティーが近づくに連れ厳しくなる練習と、筋肉痛に悩まされ、増える湿布の数に純連ちゃんからは「琴乃ちゃん、大丈夫ですか?」と心配されてきたが…それも今日で最後だ。

「準備はいい?」

私に手を差し出し、エスコートをする侑也くんにソッと自分の手を重ねた。

「えぇ。大丈夫…あれだけ練習したんだもん。なんとか乗り切って見せるよ」

気合を入れ、ホールへと続くレッドカーペットを侑也くんと共に進むと少しだけ緊張が和らいだ気がした。

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