③私、突然お嬢様になりました
なんだかんだ言いつつも、私は侑也くんを頼りにしてるんだな。
そう改めて思い知らされる。
ホールが近づくに連れ、他のペアや来賓客の姿が見え始めると。
あ…、おじいちゃんに…お母さんまで!?
かなり遠目だが、ホールの端に確認できたのは祖父の公久と母、莉乃の姿。
お母さん…やっぱりお嬢様なんだな…。
ドレス似合ってるし、なんかオーラが違うかも。
普段のぽやんとした母からは想像できないほど、ドレスを身に纏った彼女は凛として見えて私も思わず目を見張る。
その時だった。
「あら、侑也。久しぶり…そして、貴女が西園寺琴乃さんね、お会いできて嬉しいわ」
突然、正面から声をかけられ、私は視線をそちらに向けた。
すっごい…可愛い人。妖精みたい…。
目の前にいたのは、栗色のゆるいウェーブの髪を腰まで下ろし、パステルカラーの薄いピンクのドレスに見を包んだ女の人。
頭には、ピンクダイヤモンドであしらわれたティアラをつけており、穏やかな表情で笑みを浮かべている。
そして、隣で彼女をエスコートする執事もかなりの美形だ。
ロングヘアーの黒髪を後ろで束ねており、一見すると綺麗な女性に見えなくもない。中性的な顔立ちに私も思わず見惚れてしまう。