③私、突然お嬢様になりました

展開が急すぎて、正直この僕でさえ戸惑う始末。

それに、まさか姫香がわざわざ声をかけてくるなんてな…。

蘭(あららぎ)姫香は、僕より2歳上の高校3年生で櫻乃学園現生徒会長にして…唯一の5級ランク保持者。

そして…僕の幼なじみでもある。

姫香の父親と僕の父親が友人同士ということもあり、昔はよく一緒に遊んでいたのだ。

『私ね、お父様の自慢できる娘になるのが夢なの…!だから、高校生になったら櫻乃学園に入ってお嬢様の勉強するんだ〜侑也くんも将来は執事になるんでしょう?櫻乃学園でペアになろうよ!約束ね?』

そんな小学生の軽い口約束。

当時の僕は姫香のことが大好きで彼女をサポートできる執事になろうと本気で思っていた。

ま、僕が入学した頃には、桐生先輩とペアになってすでに最高ランクまで上り詰めてたわけだけど…。

ハァ…と、ソファで寛ぐ琴乃に聞こえないよう小さくため息をつく。

久しぶりに姫香に声かけられたくらいで戸惑うとかガキすぎだろ…。

でも、今日は本当に琴乃に助けられた。
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