③私、突然お嬢様になりました

うーん、悪い人ではないのかな?


自分の祖父だと言われてもまだピンとこないが、今の発言からもそこまで悪い人のようには思えない。


『まぁ、とりあえず君たちに色々話があるんじゃ。話はゆっくり家の中でしよう。いいかな…莉乃?』


『…こんな家先でボディーガード連れられてたら目立ってしょうがないもの。あなた達も早く中に入って』


そう母に促され、黒スーツの二人組もペコリとお辞儀をし、家の中に入っていく。


それにしても…こんな屈強そうな男の人をボディーガードにしているおじいちゃんって一体何者なの…?西園寺グループって言ってたけど…。

そんな疑問を抱きつつ、母の後ろからリビングに入ると、祖父と名乗る男性はすでにソファに腰を下ろしていた。


『…それで、お父様…急に何の用?』


腕組をし、訝しげに尋ねる母は、いつものポヤンとしている母に比べると幾分か頼りがいがあるように見える。


『莉乃聞いたぞ。お前…借金したんだってな。しかも一千万』


『な、なんでそのことを…』


『西園寺グループの情報網なめるでない。全く、元とはいえ、西園寺グループの令嬢でしかも櫻乃学園の5級を所持していたというのに…なんでそんな世間知らずになったのか…ハァ…』


呆れたようにそう呟く男性の言葉に、今度は私が驚く番だった。

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