どんな君も、全部好きだから。

優依の口からは『俺に飽きられるんじゃないか』という全く想像もしていなかった不安が語られて。

泣きながら必死で気持ちを吐き出す優依の姿に気持ちがぶわっと溢れ出した俺は、思わずその華奢な身体を抱き寄せた。


そんなあるはずのないことを心配してたのか?

そんなこと不安に思わなくても、俺は優依にしか興味がもてないし、優依以上に心が奪われるものなんてない。

出会ってから今日までずっとそうだったし、これからもそういう未来しか想像できない。


優依は自分が可愛くないだとか、俺につりあってないだとか、俺のことを中途半端にしてるだとか、俺にとっては『そんなことない』と思うようなことばかり並べていた。

こんなふうに気持ちを見せてくれたことが嬉しくて、泣き顔さえも可愛くて仕方なかった。

でもそれと同時に、これほど不安にさせていたんだということに気づいて胸が痛くなる。

優依と仲良くなれて、この距離を失うことが怖いとか思い始めていた自分を殴りたくなった。

そんなヘタレなことを思ってる場合じゃねーわ。

優依が不安に思う余地もないくらい、俺の気持ちの大きさをもっとわかってもらわねーと。


ひとしきり思いを口にしてくれた後も優依はまだ何か気にかかっている様子だったけど、もうそれ以上のことは話さなかった。

気にはなったけど、俺を避ける雰囲気が優依から消えたのがわかったからそれ以上追求することはしなかった。
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