どんな君も、全部好きだから。
私がふむふむと納得していると、


「それに・・・目の前で優依が他の男と喋ってんの見てるだけなんて、我慢できねーから」


夏海くんがムスッとした顔で、拗ねたようにそう言った。


もしかして、席替えしたときの西村くんとのやり取りを言ってるのかな・・・?

ずっとクールな雰囲気でスマホを操作してたけど、本当はそんなことを思ってくれてたの?

去り際のあのピリッとした空気は、もしかして嫉妬・・・?


私は驚きと嬉しさ、それに恥ずかしさでそれ以上夏海くんの顔を見ることができなくなってしまった。


「話しかけてもいい?俺も教室で優依と話したい」


顔をそらしてしまった私に、夏海くんが甘い声でお願いしてくる。

こんな言い方ズルいよ。

夏海くんにこんなふうに言われて断れるわけないじゃない。


「・・・よろしくお願いします・・・」


観念した私は少しだけ夏海くんの方に顔を向けてそう答えた。


「ほんと?めっちゃ嬉しい」


屈託なく笑う夏海くんを見ながら、胸が温かいもので満たされていくのを感じていた。

こんなふうに笑ってくれるなら、夏海くんの望むことにはなんでも応えたいなって思ってしまう。

もちろん私ができる範囲でだけど。

私が夏海くんにもらってる幸せな気持ち、少しはお返しできているかな。

できていたらいいな・・・。


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