どんな君も、全部好きだから。

球技大会と名前呼び

「ねーねー早坂さん、この問題わかる?次あたるんだけど全然わかんなくって~」


次の授業の準備をしていたら後ろからトントンと肩を叩かれた。

振り向くと神崎さんが泣きそうな顔で教科書を見せてくる。

ほんとに、どんな顔してても美人だなぁなどと思いながら、私は神崎さんが指さしている問題に目をやった。

良かった、わかる問題だから教えられそう。


席替え以降、こんなふうに神崎さんにわからない問題を質問されることがたまにあって、だんだん普通に話せるようになってきた。


「俺もわかんねーから聞いとこ」


そしてこんなときは、決まって夏海くんも横から話に入ってくる。


私と教室で話したいと言った夏海くんは、次の日からこんなふうに神崎さんとの会話に入ってくるようになった。

夏海くんとよく話す神崎さんを挟んでのやり取りだから、他の人からそんなに注目を浴びることもない。

あくまでも自然に私と会話できるようにしてくれていて。

そのスマートさに私はとても感心してしまった。


「なるほど~!早坂さん教えるの上手すぎだね。いつもありがとう」

「わかるように説明できて良かった」


私はほっとしながら笑顔で答えた。


「早坂なんでも教えるの上手いけど、苦手な教科ないの?」


夏海くんが私の方を見ながら聞いてきたので思わずドキッとしてしまう。

もう何度かこの席で夏海くんと会話してるけど、なかなか慣れないな・・・。
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