どんな君も、全部好きだから。
「えっと、体育は苦手かな。運動が全然ダメで・・・」

「そーいえば早坂さんこの前の体育でバレーボールのときさぁ、顔面レシーブしてたね」

「えっ」


夏海くんの驚いた声が教室に響き渡ったので私もびっくりしてしまう。

夏海くんが教室で喜怒哀楽を表に出すことはとてもめずらしいので、神崎さんもポカンとした顔をしている。


「賢斗のそんな張った声ひさしぶりに聞いたぁ」

「いや・・・早坂、球技大会バレーに決まってたから・・・大丈夫なのかと思って」


夏海くん、もしかして心配してくれているのかな・・・?

二日後には球技大会が迫っていて、私はバレーボールに出場する予定だ。


「あの、バレーボールは苦手だけど、その他の種目も全部苦手なので大丈夫だよ!」


意気込んでそう言ったものの、何が大丈夫なのかわからないことにすぐに気がついた。

どうせどの種目に出ても役に立たないから、決まった種目を全力で頑張りますってことが言いたかったんだけど。


夏海くんは私から顔を逸らして口元に手を当てている。

そしてすごく微妙に、ほんとにわずかに、肩が震えている。

もしかしなくても、笑われてる・・・!

うう・・・恥ずかしい・・・。

私は熱が顔に集まってくるのを感じていた。


「あはは!早坂さん面白いね~。私もバレーだから一緒にがんばろーねっ」

「う、うん。頑張る」
< 127 / 246 >

この作品をシェア

pagetop