どんな君も、全部好きだから。
体育館に到着したときには、前のクラスの試合が終盤に入っていた。

午前中の体育館はバレーボールの試合が2面で行われていて、男子と女子が1面ずつコートを使っていた。

男子の試合はすごく迫力があってレシーブやスパイクの音がすごい。

こうやって他のクラスの試合を見ているとすごく緊張してきちゃうな。


「みんなリラックスだよ!楽しんでこ!」


学級委員であり、現役バレー部員でもある岡井さんの言葉にチームのみんなが活気づく。

下手だけど精一杯頑張ろうと私も気合を入れた、その瞬間。

試合や応援のために体育館にいた女子たちから一斉に悲鳴が上がり、私は思わずビクッとしてしまう。


「なんで?!バスケって言ってなかったっけ?!」

「マジやばいって!!」


興奮している女子たちの視線の先に目をやると、うちのクラスの男子たちが体育館に入ってくるところだった。

その中に夏海くんの姿も見つけて、私は女子たちの反応に納得した。


「賢斗くんきたよ!」

「うそっ!応援来てくれたのかな?!」

「えー!緊張してヤバいんだけど!」


私たちのチームの女の子たちも途端にザワザワし始める。


「賢斗、応援来てくれたの?」


夏海くんに最初に話しかけたのは神崎さんだった。

いつもゆるく巻かれている綺麗な髪を今日はお団子にまとめていてとても可愛らしい。


「んー、まぁそんなとこ」
< 129 / 246 >

この作品をシェア

pagetop