どんな君も、全部好きだから。
「あ、試合終わった!私たちの番だね」


岡井さんの元気な声にハッとする。

今は情緒に振り回されてる場合じゃない。

足手まといにならないように、精一杯がんばるぞ。

そう意気込みながらポジションについた瞬間、コート横で壁にもたれ掛かってこちらを見ている夏海くんと目が合ってドキッとしてしまう。

夏海くんは少しだけ微笑むと、すぐに私から視線を外して隣にいる西村くんと話し始めた。

どうしよう・・・夏海くんが見てると思うとすっごく緊張しちゃうな・・・。

でも頑張る!


* *


試合は私以外のメンバーの活躍もあって、第1セットを先取した。

バレー部員の岡井さんはやっぱりすごいし、他のみんなも運動神経の良い人たちばかりでとても上手。

私はとりあえずサーブをちゃんと入れることを優先して練習したのだけど、本番でもそれが発揮できて一度もミスをせず第1セットを終えた。


「みんな、いい感じだよ!第2セットもこの調子でね」


岡井さんの言葉にみんなが嬉しそうな反応を見せている。

よーし、私も第2セットもサーブちゃんと入れるぞ。

第1セットはレシーブ取れなかったけど、次は頑張る。


「みんな上手いじゃん~すげぇすげぇ」


西村くんがみんなを励ますように声をかけてくれて、更にチームのテンションが上がっていく。


「にっしーめっちゃ応援してくれるから気合入るわ~」

「だろ~?オレが来て良かったっしょ?」

「たまに声でかすぎてうるさいけどねぇ」

「そうそう、にっしーにかき消されて岡井ちゃんの指示が聞こえないの」
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