どんな君も、全部好きだから。
「優依ちゃん、顔に当たんなくて良かったよ~」


瑞希ちゃんが目を潤ませながら私を見つめている。


「立てる?他に痛いとこない?」


夏海くんの手を借りながら立ち上がってみたけど、他に痛むところはなさそうだ。


「うん、大丈夫。ありがとう。あ、一人で大丈夫だから夏海くんは試合応援して――」

「一緒に行く」


私は心配かけまいと笑顔で言ったけど。

夏海くんの『何がなんでも絶対ついていく』という気迫に圧倒されて、それ以上断りの言葉を発することができなかった。


気づけば体育館全体が私と夏海くんのやり取りを見てざわついていた。

でも夏海くんは周りの様子には目もくれていない。

私は注目されていることが恥ずかしすぎて、沸騰しそうなほど身体中が火照っていた。


夏海くんの隣に堂々と立つために注目を浴びることにも慣れていきたいと思っていたけど、いざその場面になったらまだまだ自分の覚悟が決まっていないことに気づかされた。

夏海くんにこんなに心配してもらって、私いまどんなふうに周りから見られてるんだろう。


周囲の視線を全身に浴びながら、私と夏海くんは体育館を後にした。


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