どんな君も、全部好きだから。
そういえば、バタバタしていていつのまにか忘れてしまっていたんだけど。

夏海くん、体育館で私の名前呼んでたよね・・・?


「・・・みんな、どう思ったのかな・・・」


夏海くんに付き添われて体育館を後にしただけでも注目の的だったのに、その上名前で呼ばれたなんて。

みんなの話題にならないはずがない。

夏海くん、私が帰った後いろいろ私のこと聞かれたりしたんじゃないかな?

・・・どんなふうに答えたのかな・・・?

困ったりしてないかな・・・。

たくさん迷惑をかけてしまってたらどうしよう。


考えれば考えるほど、やっぱり今日のことが悔やまれて仕方がなかった。



翌日、いつもより出発の時間が遅くなってしまった私は、勢いよく玄関のドアを開けた。

この手じゃ寝癖を直すのも一苦労だし、だからと言って髪の毛を結んで誤魔化すこともできなくて、身支度に手間取ってしまった。

朝から降り注ぐ夏の日差しに少し顔をしかめる。はぁ、もうこんな季節なんだなぁ。


いまいちテンションが上がらないまま歩いていたけど、最初の角を曲がったところで目を見張った。

向こうから夏海くんが歩いてくるのが見えたから。


「おはよ」


夏の朝陽をキラキラと浴びながら笑顔で挨拶をする夏海くん。

その眩しさに目がくらみそうだった。

こんな暑いだけの季節に爽やかさを維持できるなんてスゴすぎないですか・・・?
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