どんな君も、全部好きだから。


気が付けば校舎内まで夏海くんと一緒に来てしまった。

廊下ですれ違う人がみんな私たちを見ていて、何か言われているように感じてしまう。

昨日あんなことがあったんだから注目を浴びるのは想定していたけど、やっぱりまだ慣れることはできない。

このまま一緒に教室まで行っても大丈夫なのかな。緊張しちゃうな・・・。


「あ、賢斗くんおはよー」

「おはよーん夏海くん」

「はよ」


夏海くんが教室に姿を見せると、すぐにみんなが挨拶をしてきたけど。

私がおずおずと夏海くんの後ろから顔を出すと、一瞬教室内が静まり返った。


「早坂さん!ケガ大丈夫だった?!」


静寂を壊すように私に話しかけてくれたのは神崎さんだった。


「うん、安静にしていればすぐに治るって・・・」

「そっか~ほんと良かった!あのまま早退しちゃったから心配してたんだよ」

「あっ・・・ありがとう・・・」


神崎さんの声を皮切りに、クラスの他の人たちも続々と私に話しかけ始めた。

緊張感に包まれていた私の身体からすーっと力が抜ける。

みんなほんとに良い人ばかりで、ちょっと泣きそう・・・。
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