どんな君も、全部好きだから。
* * * *
夏海くんとは、一年生のときに少しだけ話したことがある。
たぶん夏海くんは覚えていないだろうけど。
去年の六月中旬。
球技大会が終わって、月末から始まる期末試験に向けてこれから学校中がピリピリしてくる時期だった。
私は放課後、図書室で委員の仕事をしていた。
返却された本を持てるだけ抱えて棚に戻す作業をしていたら、突然「うわっ」という声と共にバサバサッと本が落ちる音が聞こえてきた。
音と声がした方に行ってみると、床に落ちている数冊の本と、そこに立ち尽くす一人の男子生徒の後ろ姿が目に入った。
「あの・・・」
小さな声で控えめに声をかけると、男子生徒の肩が若干ビクッと跳ねた。
ゆったりした動作で私に顔を向けたのは、一年一組の『夏海賢斗』くん。
彼のことは知っていた。
同じ学年にすごくかっこいい男の子がいると、一年六組の私のクラスでも話題になっていたから。
名前と、遠くから見ただけの何となくの外見は把握していたけど、こんなに近くで見たのは初めてだった。
「本が落ちたんですね」
床に散乱している本を見ながら、見たまんまのことを言ってしまって内心恥ずかしくなった。
学年で一番人気の男子を前にして、少し緊張しているのかもしれない。
夏海くんとは、一年生のときに少しだけ話したことがある。
たぶん夏海くんは覚えていないだろうけど。
去年の六月中旬。
球技大会が終わって、月末から始まる期末試験に向けてこれから学校中がピリピリしてくる時期だった。
私は放課後、図書室で委員の仕事をしていた。
返却された本を持てるだけ抱えて棚に戻す作業をしていたら、突然「うわっ」という声と共にバサバサッと本が落ちる音が聞こえてきた。
音と声がした方に行ってみると、床に落ちている数冊の本と、そこに立ち尽くす一人の男子生徒の後ろ姿が目に入った。
「あの・・・」
小さな声で控えめに声をかけると、男子生徒の肩が若干ビクッと跳ねた。
ゆったりした動作で私に顔を向けたのは、一年一組の『夏海賢斗』くん。
彼のことは知っていた。
同じ学年にすごくかっこいい男の子がいると、一年六組の私のクラスでも話題になっていたから。
名前と、遠くから見ただけの何となくの外見は把握していたけど、こんなに近くで見たのは初めてだった。
「本が落ちたんですね」
床に散乱している本を見ながら、見たまんまのことを言ってしまって内心恥ずかしくなった。
学年で一番人気の男子を前にして、少し緊張しているのかもしれない。