どんな君も、全部好きだから。
「じゃあなんで早坂さんの名前呼んだの?!」

「夏海くんが女子を名前で呼ぶとこ初めて見たもん」


あー、もうめんどくせぇ。

女子たちのまくし立ててくる声に、頭がガンガンしてくるようだった。


「俺が早坂の下の名前呼んだら何なの?なんかダメな理由でもあんの?」


募る苛立ちを押さえつけながら俺は周りのヤツらに冷たい視線を向けた。

何で俺のやることなすこといちいち気にされなきゃなんねーの?

俺が優依をどう呼ぼうが、ここにいる誰にも関係ないことだろ。


「そっ・・・それは・・・」

「賢斗くんのこと好きな子いっぱいいるし、ねぇ?」

「そうだよ、一人だけ特別扱いみたいなのは争いの元になるというか・・・」


優依のことが好きなんだと、だから特別扱いしてるんだと、すべて吐き出してしまいたかった。

でも今ここにいるヤツらにそれを教えてやる義理もない。


そもそも誰が俺を好きなのか知らねぇし興味もない。

優依以外の気持ちなんて、向けてこられてもどうにもしてやれない。
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