どんな君も、全部好きだから。
「なかなか帰ってこないからめっちゃ探したわ。こんなとこで何してんの?」


私は何も答えない代わりに無理やり笑顔を作って元気よく立ち上がった。

これ以上夏海くんに心配をかけちゃいけない。


「なんかあった?」

「ちょっとお腹痛くなっちゃって。でももう治ったよ」


私の答えに納得していない様子の夏海くんは、じっと私の顔を覗き込んでくる。

目、赤くなってないかな。

泣きそうになってたこと気づかれませんように。


「優依、なんかあったら何でも話してな」


朝言ってくれたのと同じ言葉をかけてくれる夏海くん。

その表情には不安が滲んでいて、私は胸がツキンといたむのを感じた。


私なんかのために、もうそんな顔してほしくない。

夏海くんには、もっと相応しい人がぜったいいる。

夏海くんのことをたくさん笑顔にしてくれる、自信に溢れた素敵な人が。



私はこの日、夏海くんから離れることを決めた。


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