どんな君も、全部好きだから。
そんな感じで荒れに荒れていた中学生時代だったけど、幼馴染二人に心配をかけまくったこともあって高校入学を機に気持ちを入れ替えた。

一年生の六月に入ってすぐのころ。

同じ中学出身だという一つ年上の先輩に告白された。

気持ちを入れ替えた俺は、その人と真剣に付き合ってみようとした。

ちゃんと他人と向き合わないと、俺のたった一人の人を見つけることができないと思ったから。

でもその先輩も中学の頃の俺に近づいてきていたヤツらとそんなに変わらなくて。

俺に理想を抱いて、俺を隣に立たせることで優越感を感じたいだけの人だとすぐにわかってしまった。


その人と付き合って二週間ほど経ち、期末試験が近づいていたころ。

息が詰まりそうになっていた俺は、先輩からのメッセージを無視して放課後図書室に向かった。

俺のこと探してるかもしれないけど、本を読むイメージをもたれていない俺が図書室にいるとは思わないだろう。

俺はなるべく奥の方の棚で、一冊の本の背表紙をグッと引いた。

目当ての本を引き出した瞬間、ぎゅうぎゅうに並べられていたその棚の他の本も数冊一緒に出てきてしまって、そのままバサバサと床に落ちてしまった。


「うわっ」


俺の間抜けな声が静かな図書室に響いてしまったような気がして、思わず口を手で押さえた。

万が一先輩がここに探しにきてたら気づかれてしまうかもしれない。
< 161 / 246 >

この作品をシェア

pagetop