どんな君も、全部好きだから。

ただ好きでいさせてほしい(Side 賢斗)

「おー、腐りきってるなぁ」


優依にフラれた次の日の土曜日。

起き上がる気にもなれなくて朝からずっとふて寝している俺の部屋に蓮が来たのは、昼の1時ごろだった。


「朝も昼も食ってないんだって?」

「腹減ってない」


昨日は間違いなく今まで生きてきた中で最大のダメージを受けたけど、あの後ちゃんとバイトに行った自分ほんとにすげぇなと思う。

気を抜くと仕事中にも放心状態になりそうでめっちゃ大変だったけど。

でも夜はなかなか寝付けなくて、ウトウトし始めたころには窓の外が少し明るくなり始めていた。


「おばさんにあんま心配かけるなよ」


うちの親は蓮を信頼しきっているので、俺に何かあった時はだいたい蓮に連絡がいく。

ということで今日も母さんが蓮を呼んだんだろう。


「・・・わかってるって・・・」


俺は枕に突っ伏した顔を上げずに蚊の鳴くような声でそう言った。


「とりあえず飯は食えよ。お前の分置いてくれてあるから」


心配そうな母さんの顔が頭に浮かんできて、ため息をつきながら身体を起こした。

中学のころ親にも散々心配をかけたから、親のことを出されると何も言えなくなる。


「・・・食べる」


俺はそれだけ呟くと、蓮と一緒に一階へと降りて行った。
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