どんな君も、全部好きだから。

昼食をとった後、蓮に家から無理やり連れ出されて街をブラつくことになった。

俺の心の中を全無視するような、眩暈がするほどの晴天に思わず顔をしかめる。

あてもなく歩いていた俺と蓮は夏の日差しに耐えられず、よく行くファーストフード店に入ってドリンクを注文した。


「んで、何があったん?まぁだいたいわかるけど」


蓮がドリンクの氷をストローでかき混ぜながら聞いてきた。


「・・・なんでわかるんだよ・・・」

「いや、見りゃわかるって」


昔から蓮とりぃに『お前はわかりやすすぎる』とよく言われてきた。

自分ではそんなふうには思わないし、俺に寄ってくるヤツらにも俺のことはわかってもらえないけど。

ずっと一緒に育ってきた二人にとってはそうらしい。


「・・・何がダメだったんかな」


俺は昨日までのことを思い出しながらぽつりとそう呟いた。


体育館で、大勢の前で、優依の名前を呼んでしまったことは失敗だった。

もっと二人だけの速度でゆっくり進んでいきたかったのに、そうもいかない状況を招いてしまったのは俺だ。


でも二人でいるときの優依は笑顔も増えてきて、俺に心を開いてくれているように感じることも多かった。

仲良くなれたと思っていたのは俺だけで、優依にとって俺はまだ遠い存在のままだったんだろうか。
< 169 / 246 >

この作品をシェア

pagetop