どんな君も、全部好きだから。
ファーストフード店を出た後、蓮は家に帰っていったけど俺はそのまま街をブラブラしていた。
帰ってもまたベッドに突っ伏してぐるぐると後悔ばかりしてしまうだけだし。
少しでも気を紛らわせたい。
去り際に「自暴自棄になるなよ」と言った蓮はいつもの無表情だったけど、心配しているのが俺にはわかった。
蓮とりぃがいるから俺はもう昔のように荒れることはないと確信できるけど、今なんの気力もわいてこないのはどうしようもなかった。
「あの~、一人ですか?」
ゲーセンでぼーっとクレーンゲームをしていると、女二人が話しかけてきた。
横目で二人を見たけど知らないヤツだったので、質問には答えずすぐにクレーンに視線を戻した。
「よかったら一緒に遊びませんか?」
よくねーから遊ばねぇわ。
「高校生だよね?美味しいものおごってあげるよ?」
知らんヤツといきなり飯食いに行くわけねーだろ。
こういう誘いに応じるかもしれない軽い男に見えているんだと思うと、更に気力が失われるようだった。
無気力のままガン無視をしていると、女二人は「あの顔でノリわる~」と言って遠ざかていった。