どんな君も、全部好きだから。
好きだから。

優依が誰かに傷つけられるのは耐えられないから。

だから守りたかった。

でも俺はやり方を間違えていたということが、蓮と話したときにわかった。


その上、優依のほんとうの気持ちにも気づかないで突っ走っていたなんて。

怖がらせていただけじゃない、すごく心配をかけてしまっていたんだ。


「俺は君が嫌いだからこんなこと教えてあげるのも癪なんだけどね」


さらっと『嫌い』だと言われたけど、それどころじゃない俺にはそんなことどうでもよかった。


「早坂さんて意外と頑固で融通効かないの知ってる?」


宮田は優越感がにじみ出た腹の立つ顔で俺を見ている。

ムカつくけど、こいつは俺よりも優依のことをわかっているのかもしれない。


「君がそんなに牙むかなきゃいけないほど、早坂さん弱くないと思うよ」


最後にそう言い残して去って行った宮田の後ろ姿から目を逸らし、俺は唇をかみしめた。


今すぐ優依と話したい。

優依のほんとうの気持ちを全部話してもらって、心配かけてごめんって謝りたい。

好きになってはもらえないかもしれないけど、もうそれでもかまわない。

ただ優依を好きでいさせてほしい。


そんなふうに会いたい気持ちが募ったけど。

昨日優依にフラれたことを思い出すと、いま会いにいく勇気はどうしても出なかった。


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