どんな君も、全部好きだから。
あのままズルズルと自分の気持ちに覚悟をもたないままで夏海くんを縛り続けるのはよくなかった。

こんな結果になってしまったけど、そう思っているのはほんとう。


「・・・ほんと人が良すぎるよ早坂さん」


神崎さんは私の話を聞いた直後はなぜか困った表情をしていたけど、フッと息を吐いて優しい顔つきで私を見た。

その顔がすごく綺麗だったので私は思わず見惚れてしまった。


「で?早坂さんは誰に拒絶されるのを怖がってるの?」

「へっ?」


さっき友達と話していたことを改めて聞かれるとは思っていなかったので、私は思わずまぬけな声をあげてしまう。


「なんか賢斗とあったでしょ~?昨日の賢斗ほんとヤバかったから」

「や、やばかったとは・・・?」


私が休んでいる間に何があったんだろう?

まだ周囲に冷たい態度をとっているのかな?

もうそんな必要はないのに・・・。

夏海くんのことを考えると胸がぎゅっと苦しくなってきてどうしようもなかった。


「んー、一言で言うと魂抜けてた」

「えっ?!!」


魂?えっ、どういうこと?


「誰の声も耳に入ってない感じで・・・無気力?ずっと机に突っ伏してるの」


神崎さんは形の良い顎に人差し指を添えながらそう言った。


「早坂さんなら何か知ってるかなって思って」
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