どんな君も、全部好きだから。
私がお断りしたことで夏海くんがそんな状態になっているということ・・・?


「あの、金曜日に夏海くんにお返事したの・・・付き合えないって」

「うっそ、断っちゃったの?!やっぱ私が早坂さんにあんなこと言ったから・・・」

「ううん、それはほんとに違うから気にしないで」


再び申し訳なさそうに眉を下げる神崎さんに、私は力を込めて否定した。

誰に何を言われたとしてもそう返事をすることを決めたのは私だから。


「でも私がお断りしたことで、夏海くんがそんなふうになるなんて信じられないというか・・・」

「いやいや、好きな子にふられたらやっぱ元気は出ないじゃん?あの無気力状態は異常だけどさ」

「でも夏海くんて、今までたくさん彼女がいたって話を聞いたことがあって・・・すぐに切り替えちゃうのかなって」

「あー、それね」


私の言葉を聞いた神崎さんが難しそうに顔をしかめる。

そういえば神崎さんは夏海くんと中学から同じだって言ってたから、昔の夏海くんを知ってるんだよね?


「あれは賢斗的には全然付き合ってなかったと思うよ。女の方は彼女だって周りに自慢してたけど」


そう話し出した神崎さんは、夏海くんの中学時代のことを少しだけ教えてくれた。

夏海くんが中学生のころ荒れていたこと。

女の子に関しては、たくさん告白をされてはいたけど、放置していたら勝手に『彼女』だと名乗られていたこと。
< 182 / 246 >

この作品をシェア

pagetop