どんな君も、全部好きだから。
◇ Episode 7

全部大好きだよ

『今日日直だからちょっと待ってて』


夏海くんにそう言われたのは掃除時間のときだった。

私も今日返却期限の図書の本があったので、待っている間に図書室に行くことを告げた。


それ以降、夏海くんと言葉を交わすことはおろか、顔を合わせる機会もなくて。

私の緊張は時間が進むにつれて増していくばかりだった。


放課後。

私が教室に帰ってくると夏海くんしかもう残っていなくて、ちょうど日誌を書き終わったところみたいだった。

私は荷物をまとめながら、左斜め後ろの席の夏海くんの気配に敏感になっていた。

そろそろ帰れるかな？


「早坂」


そんなふうに考えていたらちょうど夏海くんに呼ばれてドキッとする。


「あと日誌持っていって終わりだから」

「あ、うん、じゃあ職員室行こっか」


私がそう言うと夏海くんは一瞬目を見開いた後、なぜか少し頬を赤らめて照れた表情になった。

それにつられて私も顔が赤くなってしまう。

え、何か変なこと言ったかな私・・・？
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